臨床催眠学会では、技法研修会を中心に行って参りましたが、より臨床実践に催眠を活用できるように、さらに臨床催眠を多くの方にご理解いただくために、定期的に様々なスタイルでワークショップを提供していきます。 平成26年度第1回目のワークショップとして、当学会の理事長であり、臨床催眠指導者の 鹿児島大学大学院教授 松木 繁先生 による「イメージ療法」に関するワークショップを開催致します。 近年、トラウマ治療として様々な心理療法が用いられるようになりました。治療の経過中に、クライエントが出してくるイメージをセラピストがどのように扱い、それを効果的に扱えるかどうかにより、臨床経過も大きく変化します。イメージは、クライエントの「語り」の中で出てきたり、情動やフラッシュバックと共にイメージが表現されたりします。心理療法でイメージを扱うことで、クライエントは、コントロールできるイメージがあることに気付くかも知れません。 今回のワークショップでは、我が国独自に発展してきた、「壺イメージ療法」(田嶌,1987)を基本に、心理療法における「安全の場作り」の技法的配慮と「(イメージに伴う)体験の扱い方」の工夫を学んでいこうと思います。壺イメージ療法は、クライエントが壺というイメージ媒体を用いて、外傷体験を守られた壺の中で体験したり、壺から出てその中に外傷体験や様々な情動などを納め、蓋をして距離を置いたりすることにより、問題を解決していきます。壺という容器が安全弁として機能するため、軽症から比較的重症のクライアントにまで幅広く使うことが出来ます。一見、簡単なフォーマットに見える壺イメージ療法ですが、心理療法における技法的配慮と工夫に富んだ技法であり、その価値は見直されて良いものだと思います。 今回のワークショップを通して、皆様の心理療法の中でよりイメージを効果的に扱う”こつ”や”新たな視点”を見いだしながら、これらの手法を学んで頂けたらと思います。 |
「催眠とイメージ : 壺イメージ療法から学ぶ催眠療法における配慮と工夫」 |
イメージは、クライエント(以下、Cl.)の心の世界を深く理解するためのコミュニケーション・ツールとしてだけでなく、狭義の意味でのイメージ適用から芸術療法的側面での適用、さらには、行動変容を目指した行動療法を効果的に進めるためのツールとして使われるなど、現在も臨床場面において多角的に利用されています。しかし、こうしたイメージ活用がもっぱら「イメージ内容」を重視してきたのに対して、我が国で独自に開発された「三角形イメージ体験法」(藤原,1980)や「壺イメージ療法」(田嶌,1987)は、「イメージ内容」の展開を重視するだけでなく、Cl.が視覚的イメージを通してどのような体験をしたかという「イメージ体験」に注目していることにあります。 今回のワークショップでは、心理療法におけるイメージ利用の歴史的な流れの紹介から、催眠夢、スクリーン法、心像連想法等の催眠下でのイメージ面接(成瀬,1959)技法の基本的な理解を踏まえた上で、「イメージ体験」を扱った代表的な技法として、特に、「壺イメージ療法」を取り上げて、その臨床適用の実際をデモンストレーション及び参加者による相互実習の中で体験的に学んで頂きたいと考えています。 演者が古典的・伝統的な催眠療法の手法から、Cl.−Th.間の共感的な関係性や相互作用を重視し、Cl.がトランスの中で示す(催眠)現象をコミュニケーション・ツールとして利用する方法を確立してくるまでのプロセスは、壺イメージ療法の技法的配慮と工夫から学んだことが深く関わっています。 今回のワークショップを通して,参加者の皆様と共に「壺中の天地」(中井,1987)を味わいながら、催眠療法における安心・安全なトランス空間つくりへの『配慮』と問題解決のための効果的な技法的『工夫』を考える契機になればと願っています。 |
日 時 | 2014年4月27日(日曜日) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
会 場 | 関西医科大学 「関西医科大学学舎4階中会議室」 http://www.kmu.ac.jp/access/index.html (京阪本線・交野線「枚方市」駅 北口より徒歩3分) 病院と学舎が並んで建っていて、向かって右側の建物です。 当日は下記地図の○印のサブエントランスから、守衛さんにドアを開けてもらう必要があります。 |
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枚方駅から関西医科大を見たときの写真です |
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講師 | 松木 繁先生 (鹿児島大学大学院教授 日本臨床催眠学会理事長) |
[ファシリテーター] 水野泰行(関西医科大学) 仁木啓介(ニキハーティーホスピタル) 酒井健(大手前大学) |
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プログラム | [定員] →あと若干名となりました。お申し込みのタイミングによってはキャンセル待ちとなる可能性がございます。 →定員に達しましたので、現在お申し込みの受付を停止しております。(2014/03/28)
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参加費 |
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参加資格 | 医学、歯学、心理学の諸科学を専攻する大学学部を卒業したもの、若しくはその大学院(医学部は5回生)学生。 (学生の場合は学生証の写しを添付) 申し込み方法の詳細は下記の案内をご覧ください。 |
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備考 | 当学会は精神神経学会の専門医資格更新にかかる研修ポイントの対象学会です。今回のワークショップも研修ポイント申請予定です。 今回のWSでは、日本臨床催眠学会の修了証(初級)を発行致します。 |
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